天照大神の姫巫女〜9条と靖国と世界平和〜

天照大神である姫様とその媒体である素人巫女のブログ

地球最後の男、サムソン(2)

基地にあった古くてボロの毛布にくるまり祈りを捧げる。あまり長い事外に居ては寒いだけかも知れない、そう思った時だった。

南極では地球が自転する際の地軸に傾きがある為、ずっと夜になる事がありそれを「極夜」と呼ぶ。サムソンはそんな夜の闇を透かしてキラキラと輝くものを見た。無数の星々がその輝く姿の向こうに透けている。見たことも無い豪奢な衣装に加えて彼女自身がまるで宇宙であるかのようだ。

「君がアマテラスだね‼」
サムソンは興奮して一瞬寒さを忘れ、続けざまに自己紹介をした。
「僕はサムソン‼地球最後の一人なんだ。その…名前だけは立派だろ?」

注*(姫巫女である私はこの時、サムソンの名前を”some son=「沢山の息子」“と皮肉にも考えたが、ウィキペディアによるとその名前には「太陽の(人)」、「(神に)仕えるもの」という意味があるらしい。)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%BD%E3%83%B3


アマテラス神はサムソンを見た。元はオレンジ色だったらしい茶色のボロの毛布にくるまって、ガタガタ震えているこの一人ぼっちの最後の男は、人懐こい印象ではあるが、意図的に脳にダメージが加えられているとひと目で分かる不自然で歪んだ表情で、つぶらな目は理性を湛えて澄んではいたが唇は青ざめておかしな形に歪み、白い唾が端に付いていた。

「君は綺麗だね、」
アマテラスと言おうとした時、

「妾(わらわ)のせいじゃ‼」
アマテラス神は叫んだ。暗く冷たい地にたった一人取り残され、自分に祈りを捧げたサムソンが大層哀れだった。
媒体である平成27年を生きている姫巫女は自室の寝床で横になりこの様子をトランス状態に陥りながら夢うつつに視ていたが、天照大神である八条院暲子様がサムソンをガバと抱きしめるのが分かった。

「何という事じゃ‼、妾は哀れでならぬ‼、そなたは、寒いのではないか?それとも、恐ろしいのではないか?」
姫様はサムソンを少しでも暖めてやろうと抱きしめ、姫巫女はそんな姫様に”影響“されそうだった。自分は今、人類の終焉のある1つの可能性が展開されている物語を時空を超えて視ているのだ。

ドラえもんだったっけ?未来は1つじゃないけど、どんな行き方をしても同じところに辿り着くって。』