“話しがある、と申し伝えよ。
妾には、カネなるもの
あざ笑ってくれるわ
いと暗き中に
貯め込んで
あまりにも驕り高ぶる者は
妾とて
いみじくもよしとはせぬ
いみじくもならぬ、と
申し伝えよ”
姫様は今夜、私にこのように仰せになりました。
「妾は何も出来ないこと、申し訳なく思う。」
私は手を合わせてそのお言葉を賜りましたが、本当に驚きました。
絶対神である天照大神が私に申し訳なく思うなどと、恐れ多い事だったからです。
姫様とは、私の齢43年の間柄ですが、そんな事を思っていらしたなんて!!
「姫様、な、何故そのような事を仰せになるのですか?」
と私がお尋ねすると、どうも私のカネに対する考え方・カネ遣いの荒さも原因である貧乏・貧困に対する現在〜将来の私が無意識に抱く不安が姫様にそのような恐れ多いご発言をさせる事になった要因であるようです。
姫様は私が夜中にボソボソ言わなくてもいつでも私の感情や思考をお読みになっていらっしゃるようで、神の愛・アガペーを前提に私とリンクしているとでも言うのでしょうか?
私はすかさず告げ口しました。
「姫様、今の世の中は人の為に構成されているとは私は思いません。全て、カネの為に在るのです。資本主義です。私は経済学には疎いので仕組みはよくわかりませんが、カネ持ちはどんどんカネ持ちに、私のような社会の底辺の者にはカネはほんの少ししか回って来ないのです。」
私は以前このブログで書いた「怒れ貧乏人〜格差社会のカラクリ」という記事を思い出し、続けて姫様にこう申し上げました。
「姫様、今の世の中はほんの一握りの者がカネを独占しているのです。沢山の者が働いている大きな会社も“内部留保”と言って何があるか分からない将来の為にたんまりカネを隠し持っているのです。」
大企業が社畜から搾取した売り上げ金を隠し持っているのかどうかは私の偏見が入り混じった勝手な解釈で真実は分からないのだが、私はだんだん頭にきてのべつ幕なしに姫様に訴えた。
「カネの為に在る社会など私は納得がいきません。だから自ら命を絶つような者もいるのではないでしょうか?」
私が20代の頃、バブル崩壊の不景気で倒産した取引先のとある小さな会社の社長が自分の保険金を返済に充てる為に首を吊って命を絶った事を思い出した。まだ中学生のお子さんもいたと聞いた。御茶ノ水駅の前にはそういう経済的理由で不遇を余儀なくされた子供達が一列に並んで募金箱を持って寄付を募っていたし、毎朝の通勤時間帯ではほぼ毎日人身事故で電車が止まっていた。新宿都庁に向かう通路にもホームレスが沢山居た。その後、行政はそういう人達を切り捨てて自己責任で生きよ、と言い放ったのである。
私はどんどんデジタル化の波が押し寄せて、アメリカ製のPCがまるで爆撃のように日本を侵略し、それに伴う大量のリストラ、リーマンショック、まだブラック企業だとかセクハラだとかパワハラ、個人情報保護やコンプライアンスなどと言った言葉も無く、ただ、ただ人身事故で止まる電車に詰め込まれ、セクハラ、リストラを経験し今で言うブラック企業に搾取されて勤めていた。今思い返しても、憎しみの感情しか湧かない。何に対する憎しみかは定かでは無いが「私が何かしたか?」という感情である。(確かに“この世を存続する”という選択をしてはいる。今思えば。)
被害妄想だと言う人もいるだろう。カネが無いのは自分の努力が足らないのだと。世の中が資本主義でカネの為の社会構造だから貧乏だ、と言う考え方は間違っているという立派な人もいるであろう。
しかし、私はもう立派で無くて良いと思っている。開き直ってしまったのだ。
本当にカネは苦手である。
私はカネを憎んでしまっているのに違いない。