“
こうじゃ、姫巫女。
あのような、
憐れな
御霊(みたま)が
妾とて、
いと暗き
いみじくも
憐れでならぬ
あのような
憐れでならぬ
あのような
有るまじき
いとかなしい
あのような
妾とて
いみじくも
誠に
おかしい
非業
成らざる
憐れなる
暗き
いとおかしい
いみじくも
かなしきかな
あのような
憐れなる
御霊(みたま)にて
いささかも
愛ならさむと
し奉る
やけに
死に給ふは
如何許りかせむとて
せむとて、
妾は
愛して
いるのだよ？
如何許りかせむ
なにゆえ
あのような
有るまじき
非業を
せしめたのか
如何許りか
せむとす
とて
如何許りか
せむ
なにゆえ
あのような
非業を
せ
しめたのか
如何許りか
せ
むとす。
終わりは
ないゆえ
有るまじき
如何許りか
せ
むとす
如何許りか
せ
むとす
そのくり返し
如何許りか
せ
むとす
その
くり返し
疫病は
そなたらが
過ちを
疑う
あまりに
いささかも
恨むでない
あまりにも
憐れである
あのような
憐れなる
御霊が
あのような
有るまじき
行いにて
如何許りか
せむとす
とて、
如何許りか
せむ
終わりはない
”
「∞のマークを入れますか？
姫様。」
“
それで良い。
”
∞
新装版 萩尾望都作品集
なのはな−幻想『銀河鉄道の夜』より
