妾には分かっていた。
妾が自らの運命を悟った時に、
どのようにしても将来この国が腐敗する事を。
妾が自らの運命を誰にも告げなかった事で今があるのだが、
それによってそなたらが私利私欲に溺れる事を。
よもや、そなたらは
自らが何者か未だ分からぬまま、
生かされている事に気付かぬままのようじゃ。
苦しみ、憎しみながら生きている憐れなそなたら。
あの終戦とは、一つの国の終わり。
そなたらは造り直したのだね？
姫様が恐れ慄かれる程の膨大な数の死体を焼いて
気が狂いながら、
道路を作り、ビルを建て、
水道や電気を引いて
何かに取り憑かれたように。
胸の内に疑問を残しながら。
この巨大な国を造りあげた。
何故じゃ、
何故か申してみよ。
何故、あのような殺し合いをしたのか申せ。
あまつさえ
天照大神を理由として？
妾は憐れでならぬ。
自らが何者か分からぬまま
この世を去ると申すのか？
この苦しみに満ちた未熟な社会で、
人を憎しみながら生き、
人を貶めながら生き、
飢えも知らず
昔あった戦争を知らず、
9条を改憲するとのたまい
妾を精神病院送りにして
また繰り返すと申すのか？
妾は今この世を生きているが、
姫様のように「愛している」などとアガペはそなたらには絶対に申さぬ。
しかし、じゃ。
そなたらが間違いなく「愛」である事は知っている。
しかし、じゃ。
妾は今は「精神障害者」じゃ。
妾には分かっていた。
こうなる事を
自らの運命を悟った時に、
確かに分かっていたのじゃ。
因果応報、
全ての者は自らの行いに報いるが良い。
妾はそれを望んでいる。
伸ちゃんの三輪車(広島県)
